GoogleのGemini 4 Carbon、AnthropicのClaude Opus 5.5、OpenAIのGPT-6 Astraの3つのAIモデルをベンチマークと料金で比べる

Colorful close-up of AI app icons on a smartphone screen featuring Muse, ChatGPT, Gemini, Siri, Flow, and Suno.

Googleが最も強いとするAIモデルGemini 4 Carbonは、いまはサイバー攻撃の防御にあたる一部の担当者しか使えない。また、Google自身の比較表ではAnthropicのClaude Opus 5.5とOpenAIのGPT-6 Astraをほとんどの項目で上回るが、AIを評価する会社Artificial Analysisの総合点ではClaude Opus 5.5と1点しか違わない。

GoogleのAIモデルGemini 4 Carbonは、Googleの発表に載った比較表で、他社のAIモデルであるAnthropicのClaude Opus 5.5とOpenAIのGPT-6 Astraを相手に、17項目のうち15項目で最も良い値を出しています。でも、その2つに10ポイント以上の差をつけたテストは、長い入力の読み取りとセキュリティ、仕事の自動化の3つだけです。AIモデルを評価している会社Artificial Analysisが、いくつものテストをまとめて出している総合点では、Claude Opus 5.5との差は1点しかありません。しかもGemini 4 Carbonは、今のところサイバー攻撃の防御にあたる一部の担当者しか使えません。

使える人と時期

Gemini 4 Carbonは2026年10月28日に発表され、その週から、サイバー攻撃の防御にあたる一部の担当者に提供が始まりました。次はFairwind Programという枠組みで、Googleが信頼できると判断した相手に少しずつ広げ、開発者や企業、一般の人にはそのあとで出します。その間にGoogleは、アメリカ政府が公開前のAIモデルを試験する仕組み(企業が任意で受けるもの)に加わり、限られた相手に使ってもらいながら、ガードレール(悪用を防ぐための制限)を手直ししていきます。

Gemini 4 Carbonが一般向けに出る日は未定で、それまではその元になったGemini 4 ArgonをGeminiアプリで使えます。日本のGeminiのプランのページによると、Geminiアプリの有料プランのうち、月2,900円のGoogle AI Proか、月14,500円からのGoogle AI Ultraに入れば選べます。

比べる相手のClaude Opus 5.5とGPT-6 Astraは、どちらも9月に出ていて、それぞれのアプリと、API(自分のアプリやサービスからAIモデルを呼び出す仕組み)の両方ですでに使えます。Anthropicの製品ページによると、Claude Opus 5.5はClaudeのPro、Max、Ultra、Team、Enterpriseの各プランが対象です。GPT-6 AstraはOpenAIの発表のあと、ChatGPTのPro、Enterprise、Business Premiumのプランから先に入りました。

モデル発表日いま使える範囲
Gemini 4 Carbon2026年10月28日限られた相手だけ
Claude Opus 5.52026年9月22日Claudeの有料プランとAPI
GPT-6 Astra2026年9月3日ChatGPTの一部の有料プランとAPI

どのテストで差がついた?

Googleが比べた17項目は、ベンチマーク(AIモデルの力を測るためのテスト)とそれをまとめた総合点で、総合的な力やコーディング、パソコンの操作、セキュリティなど8つの分野に分かれています。Googleが比較表の下に載せた測り方の説明によると、他社のモデルの値は、テストを作った会社や評価会社が公開している順位表か、各社が自分で公表した数字から取ったものがほとんどで、推論の設定(答える前にどれだけ考えさせるか)は原則として最も強いものです。そのうえでGemini 4 Carbonは、GraphWalks、ExploitGym、AutomationBenchの3つのテストでClaude Opus 5.5とGPT-6 Astraの両方に10ポイント以上の差をつけ、FrontierSWE 2とOSWorld-2.1では負けています。

テストGemini 4 CarbonClaude Opus 5.5GPT-6 Astra
GraphWalks96.2%66.8%71.8%
ExploitGym54.8%34.5%42.4%
AutomationBench53.9%42.5%41.4%
Terminal-Bench 4.065.2%59.6%59.1%
FrontierSWE 261.2%62.3%65.5%
OSWorld-2.181.5%87.2%80.9%

差が最も大きかったGraphWalksは、25万6,000〜100万トークン(トークンはAIが文章を細かく区切って数える単位)の長い入力の中に点と点のつながりを書き並べておき、それを正しくたどれるかを見るテストです。17項目の中でこのテストは、Googleが他社のモデルまで自分で測った唯一のもので、Gemini 4 CarbonはGPT-6 Astraに24ポイント以上の差をつけました。

Googleが強みとして打ち出したセキュリティの分野では、ソフトウェアの弱点を突く攻撃のプログラム(エクスプロイト)を作らせるExploitGymで、Gemini 4 CarbonがGPT-6 Astraに12ポイント以上の差をつけました。もっともGemini 4 Carbonの値は、Googleがガードレールを外して自分で測ったもので、他社の値は、各社が出したシステムカード(AIモデルの性能や安全性をまとめた資料)などから取ったものです。同じ分野のCWE-benchとSEC-bench Proでは、GPT-6 Astraとの差は3ポイント前後です。

3つ目のAutomationBenchは、アプリどうしをつないで作業を自動にするサービスのZapierが運営しているテストで、Googleの表では、調べものや書類づくりのような知識労働の分野に入っています。差が大きかった3つのうち、外部の順位表の値をそのまま並べたテストはこれだけで、Gemini 4 Carbonは、他社の2つのうち近いほうのClaude Opus 5.5にも11ポイント以上の差をつけました。

長い時間をかける作業も、Googleがセキュリティと並べて挙げた強みで、Google社内のチームが使ったときには、行き詰まっても何日も作業を続けたそうです。自動販売機の経営をAIに任せて最後に残ったお金を比べるVending-Bench 2では、Gemini 4 Carbonが16,484ドルで、Claude Opus 5.5の9,235ドルを大きく上回りました。

AIにプログラムを書かせたり、パソコンを操作させたりするテストになると、Google自身の表でも勝ち負けが分かれます。エージェント型のコーディング(AIが自分で手順を決めてプログラムを書き進める使い方)の分野に入るFrontierSWE 2では、GPT-6 AstraとClaude Opus 5.5の両方がGemini 4 Carbonを上回りました。

同じ分野でも、コマンドを打ち込む画面(ターミナル)で作業させるTerminal-Bench 4.0では、Artificial Analysisが測った値でGemini 4 Carbonが勝っていますが、Webのアプリを作らせて人が出来を見比べるWebDev Arenaの順位では4位です。

パソコンの画面を見せてマウスやキーボードで操作させるOSWorld-2.1では、Googleが3回測ったうちの最も良い値を使っても、Gemini 4 CarbonはClaude Opus 5.5に5.7ポイント届きません。

いくつものテストをまとめた総合点では、差はほとんどありません。Artificial Analysis Intelligence Index v5.0では、Claude Opus 5.5が1点差、GPT-6 Astraが2点差で、Gemini 4 Carbonのすぐ後ろにつけています。AIモデルの評価をしている別の会社Vals AIのVals Index v2.2でも、Claude Opus 5.5との差は0.2ポイントです。

APIで使うときの料金

ChatGPTやClaude、Geminiのアプリの月額プランとは別に、自分で作ったアプリやサービスからAPIで呼び出すときは、AIに読ませた文章(入力)と書かせた文章(出力)の量に応じて払います。3社とも、値段は100万トークンあたりで決めています。Googleの発表の最後にある注によると、Gemini 4 Carbonの通常の料金は入力も出力も、Anthropicの料金表にあるClaude Opus 5.5と同じです。OpenAIの料金表では、GPT-6 Astraはどちらもその2.5倍です。

モデル入力出力キャッシュから読む入力
Gemini 4 Carbon4ドル20ドル0.20ドル
Claude Opus 5.54ドル20ドル0.20ドル
GPT-6 Astra10ドル50ドル1.00ドル

表のGemini 4 Carbonの値段は、導入価格の期間が終わったあとのものです。一般向けに出てしばらくは、先に出たGemini 4 Argonと同じ導入価格で使えるので、入力も出力も表の半分の2ドルと10ドルで済みます。そのGemini 4 Argonは、Gemini APIの料金表によると2026年11月30日まではこの値段で、12月1日からはGemini 4 Carbonの通常の料金と同じ値段に上がります。

表の右端の列にあるキャッシュは、一度送った部分(それまでの会話や、読ませた資料)をしばらく覚えておいてもらい、次に同じ部分を送ったときに安く読ませる仕組みです。キャッシュから読む入力は、GPT-6 Astraでは通常の入力の10分の1、ほかの2つでは20分の1の値段になります。

ただし、Gemini 4 Carbonの0.20ドルは、Googleが示した「入力の95%引き」を通常の料金に当てはめて計算した値なので、実際のところはまだ分からない感じです。

関連動画

出典

  1. Gemini 4 Carbon: our next frontier model(Google 公式ブログ)
  2. Claude Opus(Anthropic 公式)
  3. GPT-6 Astra: A new generation of intelligence(OpenAI 公式)
  4. Gemini 4 Carbon Model evaluation(Google DeepMind 公式・PDF)
  5. Pricing(Claude の料金表・Anthropic 公式)
  6. Pricing(OpenAI API の料金表・OpenAI 公式)
  7. GPT-6 Astra Model(OpenAI API・OpenAI 公式)
  8. Changelog(OpenAI API・OpenAI 公式)
  9. Gemini Developer API pricing(Google 公式)
  10. Google AI のプラン(Gemini 公式・日本)
  11. Introducing GPT-6-Astra: The most intelligent and aligned model in the world - OpenAI Developer Community
  12. サムネイル写真: Photo by Caleb Oquendo on Pexels